つやだしのレモン

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『ダンケルク』 「スペクタクルと感動」というハリウッドの文法

 『バンド・オブ・ブラザーズ』と比較すると、この映画はスペクタクルと感動に寄せすぎ。無理に見せ場を作ろうとしているので安っぽくなっている。
 例えば、不時着した戦闘機からパイロットが脱出しようとするも、フロントガラス?が開かずに溺れそうになる。が、助かる。
 例えば、英兵を助けにきた商船がドイツ兵に撃たれ、その中に隠れていた兵士たちが溺れそうになる。が、助かる。
 どちらも、分かりやすい「危機的状況」を作って映像的な盛り上がりを作ろうとしているのだろうが、その作り方がクサすぎて冷めるのだ。
 『バンド・オブ・ブラザーズ』にもたしかにこういう見せ場はあったが、『ダンケルク』ほどあからさまではなかったし、きちんと大筋のストーリーに沿っていた。
 戦争モノを作っても、結局は「スペクタクルと感動」というハリウッドの文法から抜け出せていない。やっぱりクリストファー・ノーランは嫌いだ。