『DEUCE』 David Simonの新ドラマ
『ザ・ワイヤー』(The Wire)を作ったDavid Simonの新ドラマ。Amazon Primeでシーズン1は視聴可能。
「DEUCE」(デュース)とは、ニューヨークの42丁目の通称。今でいうタイムズスクエアはこの通りにある。42丁目は1950〜1980年代にかけては風俗街で、日本でいう歌舞伎町のような場所だった。そんなDEUCEに生きる人々の生き様がこのドラマのテーマ。
以下、シーズン1(全8話)を見た上での感想。『ザ・ワイヤー』との比較が中心。ネタバレあり。
【好きなところ】
・徹底したリアリティ
David Simonといえばリアリティ。本作は1970年代のニューヨークが舞台だが、まさにその時代の空気が感じられるぐらいに作り込まれている。
ところどころに固有名詞が出てきて、実際の歴史と答え合わせができるようになっている。例えば『ディープスロート』。
・後半への盛り上がり
『ザ・ワイヤー』と同じく、前半は舞台説明とキャラ紹介に費やされていて、そんなに面白くない。でも、一通りキャラ見せがすんで、そのキャラが絡み始めるところからは楽しくなっている。第6〜8話くらいがそう。
【好きじゃないところ】
・話の進みが遅い
『ザ・ワイヤー』では「麻薬グループの検挙」という大きな目的があり、その目的に向かってキャラたちが動いていくのを見るのが楽しかった。
それに対しこのドラマには、そうした大きな目的のようなものはない。それなのに話の進みが遅い。だから、見ている側としては話がどこに進んでいくのか掴みづらく、視聴熱が冷めやすい。
・キャラクターが弱い
『ザ・ワイヤー』と比較して、どうしても感じざるをえないのは、キャラクターの弱さ。
『ザ・ワイヤー』は登場するキャラクターがみな魅力的で、彼らの言動をずっと見ていたいという気持ちになるドラマだった。それに比べると『DEUCE』のキャラクターは魅力に乏しい。娼婦とかポン引きとか、設定としては面白いはずなのに、キャラの掘り下げが浅いのであんまり引き付けられない。
【総評】
面白いはずなんだけど、いまいち入り込めないドラマ。設定だけ見ると面白いはずなのに不思議。あんまり続きを見たい気持ちにならなくて、見終わるのに3ヶ月くらいかかった。
ただ、後半のエピソード、特に第7・8話は面白かった。やっと物語にエンジンがかかってきた感じ。『ザ・ワイヤー』も楽しくなってきたのは3話目くらいからだったので、スロースターターなのはたしか。
シーズン2もあり。シーズン2はPrimeでは見れないが、おそらくシーズン3が放送される時期にPrime入りすると見ている。