つやだしのレモン

読んだもの、見たものの感想を書く場所。

映画

『パラサイト』 半地下の家族と観る、半地下の家族

TOHOシネマズ上野で『パラサイト』を見た。映画は素晴らしかったが、それ以上に、隣に座った家族が面白かった。 その家族は4人連れで、私の右隣の側に並んで座っていた。母親+子ども3人の構成で、子どもはみな小学生くらい。大きな容器に入ったポップコーン…

ポン・ジュノ『殺人の追憶』 笑いと哀しみの絶妙なバランス

・懐かしさのある映画 この映画にはジブリ映画のような懐かしさがある。何度見ても味があるというか、たくさん噛んでも味がするというか。 その理由は2つあって、1つは風景が美しいこと。韓国の田舎の風景が見事に切り取られている。『母なる証明』でも風景…

パク・チャヌク『親切なクムジャさん』 圧倒的センス

親切なクムジャさん(字幕版) 発売日: 2018/01/12 メディア: Prime Video この商品を含むブログを見る パク・チャヌク監督『親切なクムジャさん』の感想・レビュー。ネタバレあり。 以下は予告編。 ・画面にみなぎる緊張感とリアリティ 映像の美しさ。ポン・…

ナ・ホンジン『コクソン』 パズル映画の消化不良

いろんな要素がごたまぜにされて、よくわからない映画。映像はところどころインパクトがあるし、ホラーとして引きつけるところもあるんだけれど、物語としては尻すぼみなので、いまいち充実感がないままに見終わった。 この映画をどう「解釈」すればいいか、…

『ダンケルク』 「スペクタクルと感動」というハリウッドの文法

『バンド・オブ・ブラザーズ』と比較すると、この映画はスペクタクルと感動に寄せすぎ。無理に見せ場を作ろうとしているので安っぽくなっている。 例えば、不時着した戦闘機からパイロットが脱出しようとするも、フロントガラス?が開かずに溺れそうになる。…

『シェイプ・オブ・ウォーター』 オスカー狙い、あるいはデル・トロのオタク性

ギレルモ・デル・トロ監督『シェイプ・オブ・ウォーター』(2018年)の感想・批評。 ・デル・トロの作家性 文春オンラインの『「シェイプ・オブ・ウォーター」は、インテリぶるには格好の映画だ』という批評、記事のタイトルは目を引くために大げさにしてい…

ブラックブック

スマイルBEST ブラックブック [DVD]出版社/メーカー: Happinet(SB)(D)発売日: 2008/07/25メディア: DVD購入: 3人 クリック: 24回この商品を含むブログ (30件) を見る 以下、思いっ切りネタバレ。Spoiler!●あらすじ 〜 一人の売女の物語 第2次世界大戦が終り…

2014年に観た映画

今年観た映画の中から、印象に残っているものを4つ挙げる。 『殺人の追憶』 (ポン・ジュノ、2003年) 評判が良かったので観た。もっと早く観ればよかったと思う。この映画がきっかけで、昨年は韓国映画をかなり観ることになった。その中で良いと思ったのは…

そこのみにて光輝く

そこのみにて光輝く 通常版DVD出版社/メーカー: TCエンタテインメント発売日: 2014/11/14メディア: DVDこの商品を含むブログ (21件) を見る タイトルカッコイイし、DVDのパッケージもカッコイイし、期待して観たら、普通の恋愛映画だった。ただの感想だが。 …

エスター

エスター [DVD]出版社/メーカー: ワーナー・ホーム・ビデオ発売日: 2010/11/03メディア: DVD購入: 2人 クリック: 9回この商品を含むブログ (19件) を見る TSUTAYAで借りて観た。主演のイザベル・ファーマンが可愛かった。 序盤の雰囲気に呑まれた。アメリカ…

プリズナーズ

『プリズナーズ』 (ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督、2013年) TSUTAYAで借りて見た。つまらなくはなかった。でもただの映画だった。一週間もすれば忘れるような映画。 RVに乗っていた男を誘拐犯だと決めつけるのが早すぎ。「子どもたちがいない→あのRV!」とはな…

Barking Dogs Never Bite

ほえる犬は噛まない [DVD]出版社/メーカー: KADOKAWA / 角川書店発売日: 2014/06/27メディア: DVDこの商品を含むブログ (4件) を見る●作品メモ 傑作だった。観終わった後に「いい映画を観た」という実感があった。 タイトルは『ほえる犬は噛まない』だが、こ…

複製された男

『複製された男』 (ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督、2014年)●作品メモ つまらない。印象に残る場面がなかった。 退屈な日常、倦んだ夫婦生活から逃れるために、男が妄想へ沈んでいく……という話で、なんか見たことあるなと思ったら、『アイズ・ワイド・シャット…

Mother

スマイルBEST 母なる証明 [DVD]出版社/メーカー: Happinet(SB)(D)発売日: 2012/08/02メディア: DVDこの商品を含むブログ (6件) を見るネタバレ注意。○印象と感想・知恵遅れのトジュン(ウォンビン)と、そのトジュンを溺愛する母(キム・ヘジャ)の物語。・…

Children of Men

トゥモロー・ワールド プレミアム・エディション [DVD]出版社/メーカー: ポニーキャニオン発売日: 2007/03/21メディア: DVD購入: 4人 クリック: 77回この商品を含むブログ (291件) を見る○印象と感想・映像が美しい。製作費7600万ドルは伊達ではない。・長回…

SnowPiercer

『スノーピアサー』 (ポン・ジュノ監督、2014年) ●印象と感想・SFアクション映画。元の邦題は『雪国列車』。・寒冷化で人類が死に絶えた地球を一台の列車が駆け巡る。その列車の乗客たちが生き残った数少ない人類。列車内には階級社会が存在し、先頭車両の…

老人Z

北久保弘之 監督 『老人Z』 (1991年)○印象と感想 第一に、背景画が美しい。寝たきり老人が住むボロアパートの部屋、主人公がインターンで働く病院、今よりは活気のありそうな商店街など、見ているだけで心地よい背景。 第二に、ストーリーが現代的。この映…

グエムル

『グエムル』 (2006年、ポン・ジュノ) ○印象・感想 韓国発のホラーサスペンス。大量の化学薬品が川に廃棄されたことで誕生した怪物をめぐって、主人公一家がてんやわんやを繰り広げる物語。 なんといっても、シナリオが練りに練られています。無駄なシーン…

Moon

『月に囚われた男』 (ダンカン・ジョーンズ監督、2009年) ○印象と感想 最近SF映画ばかり見ています。奥浩哉『GANTZなSF映画論』で紹介されていた映画を片っ端からTSUTAYAでレンタルしてます。旧作なので全部100円。いい時代ですね。 制作費は500万ドル。低…

War of the Worlds 印象・感想

『宇宙戦争』 (スティーヴン・スピルバーグ監督、2005年) ○概要 H・G・ウェルズ『宇宙戦争』をスティーブン・スピルバーグが映画化。主演はトム・クルーズ。『マイノリティ・リポート』に引き続いてのスピルバーグ・クルーズのコンビです。 映画の出来に関…

They Live 印象と感想

『ゼイリブ』 (ジョン・カーペンター監督、1988年) 以下、ネタバレ注意 ○ホラーで有名なカーペンター監督のSF映画 「ゼイリブ」というタイトル、どういう意味だろうと思ったら、単に「They Live」をそのままカタカナにしただけ。「ゼイ・リブ」でも「ゼイ…

Starship Troopers 感想・印象

『スターシップ・トゥルーパーズ』 (ポール・バーホーベン監督、1997年) ○究極のベタ、テンポよく走り抜ける 初見かと思ったら小学生のころに一度観たことがありました。「男女の兵士たちが同じ部屋でシャワーを浴びる」場面と、「培養液の中で治療中の主…

District 9

『第9地区』 (ニール・ブロムカンプ監督、2009年) ○概要 評判が良いのでTSUTAYAで借りて観ました。「低予算映画」と聞きましたが、それでも制作費は3千万ドル。主演俳優の演技が素晴らしく魅入ってしまいました。 「地球に到来したエイリアンが、難民とな…