つやだしのレモン

読んだもの、見たものの感想を書く場所。

2019-02-01から1ヶ月間の記事一覧

『食糧人類』 楽しいスプラッターSF

食糧人類?Starving Anonymous?(1) (ヤングマガジンコミックス) 作者: 蔵石ユウ,イナベカズ,水谷健吾 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2016/09/20 メディア: Kindle版 この商品を含むブログ (3件) を見る 完結したので感想。全7巻。ネタ…

STAP細胞事件の「なぜ?」を考える

・なぜ小保方氏はいまだに注目されるのか? 小保方晴子氏はSTAP論文不正事件のあと、2冊の本を出している。『あの日』と『小保方晴子日記』である。本を書くだけでなく、瀬戸内寂聴と対談したり、グラビアを撮ったりもしている。今でも、彼女がなにかするた…

市橋達也『逮捕されるまで』 強烈な自己愛

逮捕されるまで 空白の2年7カ月の記録 作者: 市橋達也 出版社/メーカー: 幻冬舎 発売日: 2011/01/26 メディア: 単行本 購入: 15人 クリック: 1,224回 この商品を含むブログ (35件) を見る 市橋達也の手記。市橋はリンゼイ・アン・ホーカーさん殺害事件の犯人…

宮本常一『イザベラ・バードの旅』 地方に住む人々の話

イザベラ・バードの旅 『日本奥地紀行』を読む (講談社学術文庫) 作者: 宮本常一 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2014/04/11 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (3件) を見る イギリスの女性イザベラ・バードは、1878年に日本を訪れ、その顛末を『日本…

ディック『小さな黒い箱』 「ラウタヴァーラ事件」「運のないゲーム」が名作

小さな黒い箱 ディック短篇傑作選 (ハヤカワ文庫SF) 作者: フィリップ K ディック 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: 2017/11/30 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る 「ラウタヴァーラ事件」が結構好き。文化の違いをグロテスクに書いている。 …

アイリッシュ『シルエット』 哀愁あふれる短編集

シルエット―アイリッシュ短編集 (4) (創元推理文庫 (120-6)) 作者: ウィリアム・アイリッシュ,村上博基 出版社/メーカー: 東京創元社 発売日: 1974/03 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (2件) を見る アイリッシュ短編集4。1974年刊行。 印象に残ったの…

アイリッシュ『黒衣の花嫁』 未亡人の復讐物語

黒衣の花嫁 (ハヤカワ・ミステリ文庫) 作者: コーネルウールリッチ 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: 2017/08/31 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る アイリッシュの「ブラックもの」第1作。夫を殺された妻が、復讐のために連続殺人に手を染め…

ジャン・ユンカーマン『沖縄 うりずんの雨』 3つの差別

『うりずんの雨』パンフレット (はてなダイアリー2015/08/01より再録) 神保町の岩波ホールで観た。 この映画では、「沖縄」をめぐる問題の根底にある、様々な差別意識が語られている。映画の中で、証言者を通じて浮き彫りにされていた差別意識は、あえて大…

ティプトリー『愛はさだめ、さだめは死』 「接続された女」はSF史に残る傑作

愛はさだめ、さだめは死 (ハヤカワ文庫SF) 作者: ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア,浅倉久志 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: 1987/08/01 メディア: 文庫 購入: 11人 クリック: 99回 この商品を含むブログ (79件) を見る 数年前の初読時は、なんだかよ…

島尾敏雄『死の棘』 読書体験そのものが泥沼

死の棘 (新潮文庫) 作者: 島尾敏雄 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 1981/01/27 メディア: 文庫 購入: 7人 クリック: 82回 この商品を含むブログ (128件) を見る ・泥沼のごとき小説 作者の実体験をもとにした私小説。トシオの不倫がきっかけで妻のミホは精…