つやだしのレモン

読んだもの、見たものの感想を書く場所。

2019-01-01から1ヶ月間の記事一覧

アイリッシュ『夜は千の目を持つ』 行き当たりばったりの適当サスペンス

夜は千の目を持つ【新版】 (創元推理文庫) 作者: ウィリアム・アイリッシュ,村上博基 出版社/メーカー: 東京創元社 発売日: 2018/11/21 メディア: 文庫 この商品を含むブログを見る 推測される当初の構想 『幻の女』で有名なウィリアム・アイリッシュが、「…

ティプトリー『故郷から10000光年』 この読みにくさもティプトリーの魅力か

故郷から10000光年 (ハヤカワ文庫SF) 作者: ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア,伊藤典夫 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: 1991/04 メディア: 文庫 購入: 8人 クリック: 105回 この商品を含むブログ (50件) を見る ティプトリーの第一短編集。全体的に読…

『新語・流行語大全』 「なぜだ!」

新語・流行語大全1945‐2005―ことばの戦後史 作者: 木村傳兵衛,谷川由布子 出版社/メーカー: 自由国民社 発売日: 2005/12 メディア: 単行本 クリック: 4回 この商品を含むブログ (3件) を見る 印象に残った言葉のみ以下にリストアップ。 ・かつぎ屋 戦後の闇…

ポール・ウィリアムズ『フィリップ・K・ディックの世界』 ディックは病気

フィリップ・K・ディックの世界 作者: ポールウィリアムズ,Paul Williams,小川隆 出版社/メーカー: 河出書房新社 発売日: 2017/08/29 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (1件) を見る ・自宅侵入事件を中心にしたインタビュー集 1971年にディックは自宅…

アイリッシュ『幻の女』 幻の都市の雰囲気

ウィリアム・アイリッシュ『幻の女』の感想。ネタバレあり。 幻の女〔新訳版〕 (ハヤカワ・ミステリ文庫) 作者: ウイリアムアイリッシュ,William Irish,黒原敏行 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: 2015/12/18 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (8件) …

堀尾省太『刻刻』 見せ方がとにかく巧い漫画

刻刻(1) (モーニングコミックス) 作者: 堀尾省太 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2012/09/28 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る ・緻密な設定 設定がとにかく緻密。物語の中でのルールが確立されていて、そのルールに則ったうえでの読み合…

ポン・ジュノ『殺人の追憶』 笑いと哀しみの絶妙なバランス

・懐かしさのある映画 この映画にはジブリ映画のような懐かしさがある。何度見ても味があるというか、たくさん噛んでも味がするというか。 その理由は2つあって、1つは風景が美しいこと。韓国の田舎の風景が見事に切り取られている。『母なる証明』でも風景…