つやだしのレモン

読んだもの、見たものの感想を書く場所。

2012-10-01から1ヶ月間の記事一覧

本陣殺人事件

横溝正史 『本陣殺人事件』 (角川文庫) ○概要 金田一耕助シリーズの初頭を飾る作品であるとともに、日本初の「本格」推理小説として有名です。推理小説において「本格」を定義するのは難しいですが、「事件の真犯人を、ぼんやりとでも断定できるだけの材料…

The Three-Eyed One

手塚治虫 『三つ目がとおる』 (講談社) ○概要 手塚先生が『ブラック・ジャック』と同時期に連載していた漫画。 「第三の眼」を持つ中学生・写楽保介と、その写楽に恋してしまった和登千代子が織り成すドタバタSFコメディ。 内容的には、三つ目人が残した遺…

District 9

『第9地区』 (ニール・ブロムカンプ監督、2009年) ○概要 評判が良いのでTSUTAYAで借りて観ました。「低予算映画」と聞きましたが、それでも制作費は3千万ドル。主演俳優の演技が素晴らしく魅入ってしまいました。 「地球に到来したエイリアンが、難民とな…

Confessions of a Crap Artist

フィリップ・K・ディック 『戦争が終り、世界の終りが始まった』(晶文社) ○概要 SFの鬼才ディックの非SF小説。SF小説ではないので、「未来を予知する能力者」や「服用すると現実世界を変えてしまうドラッグ」や「人間の脳波を探知して飛んでいく小型ミサイ…

三角草

押切蓮介 『ミスミソウ』(ぶんか社) ○概要 押切蓮介さんのシリアスホラー。押切さんといえば『でろでろ』や『ゆうやみ特攻隊』の「ゆるフワ系ホラー」で有名ですが、暗い雰囲気のホラー漫画もいくつか描いています。この『ミスミソウ』はその代表作で、他…

カムイ伝 第二部

白土三平 『カムイ伝 第2部』 全12巻 (小学館) ○概要 『カムイ伝』第一部の最後では、それまで物語の中で積み上げられてきた数々が一気に瓦解し、英雄たちは草葉の陰に隠れ、荒地に蒔かれた種は芽を出した途端に引き千切られました。この第二部では、その…

第60期王座戦

王座戦中継サイト 昨日行われた将棋の第60期王座戦第4局、渡辺明王座 vs 羽生善治二冠、中継サイトで観ていました。その感想。 ○千日手局 後手番の羽生二冠は第2局と同様に振り飛車を採用。第2局では角交換四間飛車でしたが、今回は2手目3二飛戦法。佐…

Counter-Clock World

フィリップ・K・ディック 『逆まわりの世界』(ハヤカワ文庫SF) ○概要 SF作家フィリップ・K・ディックの1967年の作品。ディックが小説を濫造していた時代の作品であるため、SFとしての設定は完全に破綻しています。 世界は「ホバート・フェイズ」なるものに…