つやだしのレモン

読んだもの、見たものの感想を書く場所。

2013-01-01から1年間の記事一覧

Nickelodeon TMNT

ニコロデオン版のミュータント・タートルズが来春から放送開始 米国のニコロデオンという子ども向けチャンネルで放送されているTMNTが面白い。視聴者のターゲットはキッズなので、ストーリーは完全に子ども向け。でも、アクションシーンの出来はアニメ史上で…

伊豆の踊子

川端康成 『伊豆の踊子』 (新潮文庫) ○印象と感想「伊豆の踊子」「温泉宿」「抒情歌」「禽獣」の短編4作を収録。 川端文学の特徴は、第一に文章が美しいこと、第二にテーマが残酷であること。 文章の美しさに関してはとりたてて説明するまでもない。日本…

Teenage Mutant Ninja Turtles

ティーンエイジ・ミュータント・ニンジャ・タートルズ(1987年版) 最近はタートルズという大昔のアニメを狂ったように観ています。 タートルズのアニメには2種類あって、1987年から放送された「初代(旧亀)」と、2003年版の「新亀」があります。初代は今か…

Cien Años de Soledad

G・ガルシア=マルケス 鼓直訳 『百年の孤独』 (新潮社) ●印象と感想 ラテン・アメリカ文学といえばこの一冊。何度かこれの書評を読んだので、読む前からぼんやりと結末を知っていた。実際に読むと、やはり抜群に素晴らしい。読書に慣れると新たな発見や喜…

El aleph

ホルヘ・ルイス・ボルヘス 『エル・アレフ』 (平凡社) ●印象と感想 ホルヘスの短編集を読むのは『伝奇集』に次いで二作目。興味深い内容だったが、『伝奇集』に比べると衝撃や新鮮さはなかった。 ボルヘスという作家は扱うテーマが特殊で、その新奇性と奇…

老人Z

北久保弘之 監督 『老人Z』 (1991年)○印象と感想 第一に、背景画が美しい。寝たきり老人が住むボロアパートの部屋、主人公がインターンで働く病院、今よりは活気のありそうな商店街など、見ているだけで心地よい背景。 第二に、ストーリーが現代的。この映…

白痴

ドストエフスキー 『白痴』 (新潮文庫) ●印象と感想 訳者あとがきを見ると、ドストエフスキーは「無条件に美しい人」を描くことがこの小説の主題だと述べている。その言葉通り、全くの善人で博愛主義者のムイシュキン公爵がこの物語の主人公である。公爵は…

理性の限界

高橋昌一郎 『理性の限界 不可能性・不確定性・不完全性』 (講談社現代新書) ○印象と感想 多人数のディスカッション形式で「理性の限界」について語った本。なかなか面白い。ここで言われている「理性」は具体的には「選択」や「科学」や「知識」といった…

Rendezvous in Black

Cornell Woolrich 『Rendezvous in Black』 (Modern Library) ○印象・感想 邦題『喪服のランデブー』。作者はコーネル・ウールリッチ。日本では「ウィリアム・アイリッシュ」という筆名のほうが有名ですね。『幻の女』の作者でお馴染みです。しばしば「都…

Ficciones

ホルヘ・ルイス・ボルヘス 『伝奇集』 (岩波文庫) ○印象と感想 1960年代に世界的なラテンアメリカ文学ブームがありました。その人気を牽引したのはガルシア=マルケスやバルガス=リョサでしょうが、ラテンアメリカ文学の基礎を築いたのはこのボルヘスでし…

The Wisdom of Father Brown

G・K・チェスタトン 『ブラウン神父の知恵』 (創元推理文庫) ○印象と感想 〈ブラウン神父〉シリーズの第2短編集。第1作の『童心』同様、逆説とユーモアに満ちた短編ミステリ集です。収められているのはどれも数十ページの短編ですが、その一つ一つの味付…

The Innocence of Father Brown

G・K・チェスタトン 『ブラウン神父の童心』 (創元推理文庫) ○印象と感想 〈ブラウン神父〉シリーズの第1短編集。初めて読んだときの衝撃は今でも忘れません。ミステリとしての緻密な設計、簡潔な描写、駆使される巧みなレトリック。「洗練されている」と…

The Nine Tailors

ドロシー・L・セイヤーズ 『ナイン・テイラーズ』 (創元推理文庫) ○印象と感想 イギリスの濃厚な香りが堪能できる古典ミステリ。セイヤーズの長編ミステリは「ピーター・ウィムジイ卿」という貴族探偵が主人公ですが、「貴族」が探偵役というのに違和感を…

813

モーリス・ルブラン 『813』『続813』 (新潮文庫) ○印象と感想 「アルセーヌ・ルパン」シリーズの中でも屈指の名作と名高い『813』。大富豪ルドルフ・ケッセルバックが掴んだ「ヨーロッパを揺るがす秘密」を巡り、怪盗紳士アルセーヌ・ルパンと謎の殺人鬼“…

The City & The City

チャイナ・ミエヴィル 『都市と都市』 (早川書房) ○印象・感想 グレッグ・イーガンと並んで現代SFの中心的な作家ミエヴィルの代表作。ヒューゴー賞やローカス賞やクラーク賞、さらにはイギリスSF協会賞までとっています。SFでもありミステリでもありファン…

少将滋幹の母

谷崎潤一郎 『少将滋幹の母』 (新潮文庫) ○印象・感想 短い小説でありながらも、谷崎潤一郎の変態性がぎっしりと詰まっている名作です。平安時代中期が舞台で、当時の言葉や和歌がやたらと出てきて目が回りますが、しっかり注釈がついているので安心です。…

Wish You Were Here 和訳

最近、Pink Floydの『Wish You Were Here』をよく聴いています。Floydは『The Wall』が好きでそればかり聴いていましたが、『Wish You Were Here』も繰り返し聴いてみると良さが分かりますね。とくに表題曲は良い。 以下、“Wish You Were Here”の英詩と和訳…

半七捕物帳

岡本綺堂 『半七捕物帳』 (光文社時代小説文庫) ○印象・感想 第二巻の解説で、森村誠一氏が「中にはかなり残酷な殺人事件などがあるが半七老人の語り口にかかると、紗を通して透かし見るようなうるんだ光沢と色調を帯びる」と述べていますが、たしかにその…

L'Aiguille creuse

モーリス・ルブラン 『奇岩城』 (新潮文庫) ○印象・感想 ルブランのアルセーヌ・ルパンシリーズの代表的な長編といえば、この『奇岩城』と『813』です。 私がルパンに始めて触れたのは小学3年生の時で、ポプラ社から南洋一郎氏の翻訳で出ていた全集を…

グエムル

『グエムル』 (2006年、ポン・ジュノ) ○印象・感想 韓国発のホラーサスペンス。大量の化学薬品が川に廃棄されたことで誕生した怪物をめぐって、主人公一家がてんやわんやを繰り広げる物語。 なんといっても、シナリオが練りに練られています。無駄なシーン…