つやだしのレモン

読んだもの、見たものの感想を書く場所。

2013-09-01から1ヶ月間の記事一覧

El aleph

ホルヘ・ルイス・ボルヘス 『エル・アレフ』 (平凡社) ●印象と感想 ホルヘスの短編集を読むのは『伝奇集』に次いで二作目。興味深い内容だったが、『伝奇集』に比べると衝撃や新鮮さはなかった。 ボルヘスという作家は扱うテーマが特殊で、その新奇性と奇…

老人Z

北久保弘之 監督 『老人Z』 (1991年)○印象と感想 第一に、背景画が美しい。寝たきり老人が住むボロアパートの部屋、主人公がインターンで働く病院、今よりは活気のありそうな商店街など、見ているだけで心地よい背景。 第二に、ストーリーが現代的。この映…

白痴

ドストエフスキー 『白痴』 (新潮文庫) ●印象と感想 訳者あとがきを見ると、ドストエフスキーは「無条件に美しい人」を描くことがこの小説の主題だと述べている。その言葉通り、全くの善人で博愛主義者のムイシュキン公爵がこの物語の主人公である。公爵は…