つやだしのレモン

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『ダイナー』 三池崇史映画の小説版

ダイナー (ポプラ文庫)

ダイナー (ポプラ文庫)

 

 

 平山夢明『ダイナー』(DINER)の感想。7月5日に映画が公開されるらしい。 

 平山夢明は『独白するユニバーサルメルカトル』も読んだ。あっちは短編集だったが『DINER』は長編。

 作風を一言でいうと、三池崇史映画の小説版。『DEAD OR ALIVE』とか『殺し屋1』みたいな、とにかくテンションが高くてエログロも極端に振り切っていて、「荒唐無稽」という言葉がぴったりくるようなB級スプラッター映画のテイストを、小説で表現している。高い文章力があるからできる所業。

 『DINER』はそういう作風がはっきり出ている小説。「殺し屋専用の食堂」というB級感あふれる設定と、現実離れしたグロテスクで最後まで突っ走っていく。閉鎖空間が舞台だが爆発あり銃撃戦ありで、たぶん映像化を想定して書いたんだろうなと思わせる。

 そのくせ、食堂店主ボンベロが振る舞う料理の描写がやけにマニアック。殺人のあいだに差し込まれるグルメ要素。殺し+グルメとかいうわけわからん組み合わせ。

 いろいろと悪趣味だけど、読んでいて間違いなく楽しい。