つやだしのレモン

読んだもの、見たものの感想を書く場所。

宇宙船ビーグル号の冒険


 ヴァン・ヴォークト『宇宙船ビーグル号の冒険』(創元SF文庫)


 宇宙の遥か彼方に潜み棲む奇怪な生物との戦いに臨む人間たちの姿を描くスペース・オペラ。巻末の解説によると、奇怪な宇宙生物はSFの世界ではBEM(Bug-Eyed Monster)と呼ばれているらしいです。

 本書で人間が挑むのは4種のBEM。名前と特徴は以下。

ケアル:猫に似た怪獣。エネルギーを自由に操ることができる。
リーム人:鳥に似た外見をもつ二足歩行の生物。テレパシー能力をもつ。
イクストル:灼熱を思わせる褐色の鉄製生物。自らの肉体の原子構造変えられる。
アナビス:無形生物。他の生物の死を糧にして生きる。

 「ケアルは獲物を求めて宇宙を彷徨う」という冒頭の一文が強烈で、グイグイ引き込まれます。
 主人公が全知全能のスーパーマンであることにはやや抵抗ありですが、スペースオペラの古典としては傑出した面白さです。翻訳もたいへん上手いので是非。