つやだしのレモン

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ヴォークト『武器製造業者』『イシャーの武器店』 ディックに影響を与えたSF作家


 ヴォークトの「武器店シリーズ」として名高い2作品。ヴォークトはディックが大きな影響を受けた作家として有名。
 この2作は続きもので、イシャー家が統治する未来世界で、独自の勢力として暗躍する「武器店」を軸にした話。
 以下ネタバレ。



 『武器製造業者』では不死身の超人ヘドロックが主人公。イシャー家と武器店の双方に命を狙われて単身宇宙へ脱出。そこで高度な文明をもつ蜘蛛型生物に拘束され、数々の「実験」のモルモットにされて殺されかけるも、「地球人の特性」を見せつけて辛くも助かる。

 ヘドロックを実験にかけた結果、蜘蛛たちは「他人に感情移入すること」が地球人固有の能力であると述べ、地球人が他人の振る舞いにいとも簡単に影響されることを不思議がる。P・K・ディックの小説でたびたび登場する「共感」というテーマは、もろにヴォークトの影響であることが分かる。

 その続編である『イシャーの武器店』はこれぞSFというカラクリに満ちている。よく分からない方向へ進んでいくストーリーが、最後はキレイにまとまってる。宇宙の開闢を説明するオチは秀逸で、ヴォークトの代表作に挙げられるのも納得の出来栄え。