つやだしのレモン

読んだもの、見たものの感想を書く場所。

Zeno Clash 印象と感想

 『 Zeno Clash 』(ACE TEAM、2009年)



○チリ発・異色FPS

 チリの独立系ゲーム会社が2009年に製作した異色FPS『Zeno Clash』。本来なら15ドルですが、STEAMのハロウィンセールで値引きされてたので衝動買い。その値段、まさかの0.99ドル! 日本円にして82円の投げ売りです。1ドルでは利益もクソもないと思うのですが、開発会社は正気なのでしょうか。

 5時間弱でクリア。以下、ざっと長所と短所まとめ。


[長所]
・独特のグラフィック。これを堪能するだけでも買って損はないほど。
・狂ったストーリー。主人公が住む街で大きな支配力を持っている「Father Mother」の謎に迫るというのが大筋ですが、その謎が明かされた後でも全く意味が分かりません


[短所]
・ストーリーが一本道。
・戦闘システムの出来が酷い。ジャブ最強説。
・戦闘ごとにロードが入る。




○トチ狂ったストーリーと、キモちワルい世界観

 『ZenoClash』の最大の魅力は「狂ったストーリー」「キモちワルい世界観」。色鮮やかな背景グラフィックを汚すかのように、キモい造形のキャラクターがワラワラと登場してきます。ストーリーをろくに理解できないうちから戦闘が繰り返されるので、プレイ中にめまいを覚えること必至。

 






 プレイしていて印象に残るのは、キャラクターデザインがたいへん独特であることと、背景グラフィックがたいへん美しいこと。その美的センスは異国情緒とでもいうべき雰囲気に溢れていて、これがチリ特有の感覚なのでしょうか。あるいは、OblivionDLCShivering Isles」に影響を受けているのかなとも思いました。



○出来の悪い戦闘システムは大目に見て、奇妙な世界に浸るべきゲーム

 このゲーム、世界観はたいへん独創的で面白いですが、戦闘システムは実に大雑把です。「格闘」をFPSに盛り込んだのはまあ評価できるとして、ダメージを与えた敵にいちいちロックオンするのが鬱陶しい。ロック中はその敵中心に視野が固定されてしまうので他の敵が見えず、しかも攻撃できるのは基本的にはロックした敵のみ。「FPS」の良い部分をほとんど削ぎ落としてしまっています。

 「1 vs 1」のバトルであればなかなか楽しめる戦闘システムだと思いましたが、ほとんどのバトルは「1 vs 複数」が基本な上、敵の攻撃はワンパターン。必然的に戦闘は単調になり、物語の序盤で教官が教えてくれたテクニックはほとんど使うことなく、ジャブ(左クリック)の連打だけでクリアできました。結論=ジャブ最強

 銃や弓といった遠距離武器に個性があったり、敵が同士討ちをはじめたりするのは面白いと思うのですが、いかんせん戦闘システムがモッサリしているので台無しです。日本でこのゲームが無名に近いのも、「戦闘がつまらない」からなのでしょう。

 ただ、キャラの造形と背景グラフィックには唯一無二のものがあるので、今度のセールには是非ご購入をオススメしておきます。