つやだしのレモン

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昨夜の下痢のはなし

 夜1時半、軽い腹痛で目を覚ます。でもまたすぐに眠る。

 夜3時頃、猛烈な腹痛で目が覚めて、トイレに駆け込む。

 

 水分多めの、ドロみたいな便が出る。下痢だ。

 便の臭いがとにかく強烈。ゲロみたいな臭いが少しする。あまりに臭いので、鼻呼吸から口呼吸に切り替える。そのとき、自分の口がカラカラに乾いていることに気づく。自分は夕食後に多量に水を飲む人間である。なのに、どうして口がこんなに乾いているのだろう。

 

 下痢のときは便が長くなる。腹の中に溜まったドロ状の便をすべて出すのに時間がかかるからだ。

 スマホを見ながら力んでいたが、途中でスマホを脇に置いた。

 スマホを見てられなくなるくらいに、目の前がくらくらしてきたからだ。熱い風呂に入ってのぼせたときみたいに、だるさが全身に広がる感じ。

 同時に、腹の底から吐き気が襲ってくる。ゲロを吐きたいという欲がせり上がってくる。自分の便がゲロみたいな臭いをしているのが影響しているのかもしれない。

 下痢を肛門から排出しながら、めまいと吐き気、そして便の臭さに苦しむ。夜中に目覚めたので頭もぼーっとしており、まともに思考ができない。夢の中にいるかのような状態。

 

 そのとき、左胸に手を当ててみると、心臓が全く動いていなくて驚いた。

 いや、動いてはいるんだろうけど、でもその動きが小さすぎて、手に振動が全く伝わってこないのだ。

 いくら心臓のあたりを手で探っても、振動がない。何もない。

 あれ? 自分は今、死につつあるのか? と、このとき気づく。

 全身が脱力状態で、吐き気があり、下痢もしている。心臓も動いていない。これって、死につつある人間の身体なんじゃないか、と思う。

 でも、死の恐怖より何より、下痢とめまいと吐き気のコンビネーションが辛すぎて、怖いとかヤバいという感情が湧いてこない。ただ、便座に座って、この辛さがどこかへ行ってくれることをひたすら待っている、それだけしかできない。便座に座っているという行為だけで精一杯で、それ以外をする余裕がない。便座に座っているだけでとても苦しいから。意識が朦朧としている。

 

 そんな状態で、数分すると、めまいが弱まってくる。同時に吐き気も引き、下痢の激臭だけが残った。

 ドロのような便を終えて、ウォシュレットを使うが、まだ身体に力が入らない。自分を遠くからリモコンで操作しているような感覚だ。人は「臨死体験」をすると、魂が身体を抜け出して自分を外から眺めることがある、と聞いたことがあるが、まさにそんな感じ。全身にしびれがあって、自分の手足が自分の手足ではないように動く。

 トイレを出たあと、ふらつきながら、ペットボトルで水を飲む。カラカラに乾いていた口を湿らせたかったから。今思うと、脱水症状だったのかもしれない。

 そのあとベッドに潜り込む。冷え切った体をベッドの中で温めているうちに眠った。

 

 翌朝、起きるとなんともなかった。

 なんだったのだろう。ただの下痢だったのか? 今でも、トイレにはかすかにゲロの臭いがする。したのは下痢なのに。

 臨死体験をするにしても、下痢で死にかけるというのは笑えない。いや笑えるか。