R.D. Wingfield "Winter Frost"
- 作者: R.D. Wingfield
- 出版社/メーカー: Corgi
- 発売日: 2004/01/20
- メディア: ペーパーバック
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フロスト警部シリーズ第5作目。翻訳されたら『冬のフロスト』というタイトルになるんだろうか。
内容は相変わらずの面白さ。立て続けに巻き起こる事件の数々に翻弄されるのはもちろんのこと、ページの隅々まで下品なジョークとブラックユーモアでびっちり。
以下ネタバレ。
フロストが捜査する事件は主に二つ。
・少女誘拐強姦殺人事件
・娼婦誘拐拷問殺人事件
これまでの作品と同様に、捜査は迷走に迷走を重ねてとんちんかんな方向へ。上2つの事件も一向に解決に向かわず、被害者の数は増え続けるばかり。それでも最後は警察官全てを狩り出しての懸命の捜査によって解決をみる。
ただ不満もあり。
まず、フロストの部下であるモーガンが無能であること。その無能ぷりたるや恐ろしいほど。失敗をしでかすこと湯水の如く、女性の尻を追いかけること猿の如く。そのドジっぷりに愛嬌があればよいのだが、最後の最後で大惨事を引き起こす。しかもその汚名返上をする機会もなく……。
また、2つの事件とも犯行の動機が明かされていない。少女殺人事件は犯人が自殺してしまうのでしょうがないが、娼婦殺人の方は犯人を捕まえてそれでオワリ。2人のレズがどういう理由で娼婦を拷問してたのかは書いてほしかった。
でも小説としては抜群に面白い。ワンパターンだしマンネリだけど、それでも面白いんで全然読める。それにシリーズものといっても出版されるのは5年に1冊のペースなので、すでに前の作品の記憶は頭から消えているから新鮮な気持ちで読める。作者が遅筆なのが逆にありがたい。