つやだしのレモン

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小谷野敦『病む女はなぜ村上春樹を読むか』(ベスト新書、2014年)

●メモ

  • 面白い。村上春樹批判というよりも、ノーベル賞を絡めて、純文学についてアレコレ語っている。その一つ一つが興味深い。
  • 例えば、日本では伝統的に、純文学は売れておらず、売れているのは大衆文学ばかりだったこと。かつ、日本では「宗教」と関連した作品が昔から売れていて、古くは賀川豊彦倉田百三有島武郎、近年では『人間革命』や五木寛之親鸞』である(p.39)。
  • 肝心の村上春樹についての分析も鋭かった。村上春樹の小説を嫌いなのは、主人公がスカしていて、文章がカッコつけているのが癪に障るからだというのが分かった。『1Q84』について、「ところでいま「IQ80」と書いて、村上春樹の『1Q84』と自分で見間違えたのだが、もしかすると春樹のヒロインは、IQ84が相場、ということかもしれない」(p.108)と書いていたのには爆笑した。