つやだしのレモン

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Shadowrun Returns レビュー


(画像は全て英語版Wikiより引用)


●プレイデータ

  • 価格:148円(セールで90%OFF)
  • 難易度設定:Hard
  • プレイ時間:17時間でクリア


●メモ
 Good!

  • 細部まで描き込まれたグラフィック
  • サイバーパンク+ファンタジーの世界観
  • 大雑把だがドンパチを楽しめる戦闘

 Bad!

  • 地味なストーリー&魅力に乏しい登場人物
  • 一本道で分岐ゼロ
  • 中途半端な育成システム

●あらすじ

 近未来、シアトル。ボロアパートで自堕落な生活を送る主人公のもとに、昔の友人から連絡が入る。サム・ワッツ(Sam Watts)というその男は、昔の仕事仲間だ。アルコールとドラッグをこよなく愛すダメな奴。主人公の同類だ。

 コンピュータのディスプレイで、サム・ワッツは、口元にうっすらと笑みを浮かべながら、次のように言った。「お前がこの映像を観ているなら、俺は死んでる。信頼できる人間はお前だけだ。俺を殺した人間を探せ。報酬はたんまりやる」

 ……というような導入で、このシナリオ"Dead Man's Switch"(死後作動装置)は始まる。
いわゆる、「この手紙を読んでいる頃には、私はもうこの世にいない」系の物語である。主人公は、サム・ワッツを殺した犯人を追っていくうちに、シアトルの奥に蠢く闇に呑まれていく……。

 ストーリーは完全な一本道。シナリオを先に進めると、元いた場所には戻れなくなる仕様。自由度は限りなく少ない。

●戦闘システム

 戦闘は、ただのターン制シミュレーション。味方パーティーのターンが終わると、敵パーティーのターンに移る。それの繰り返し。

 攻撃手段は多様。ピストルで撃ったり、アサルトライフルを乱射したり、斧で斬りかかったり、素手で殴ったり、魔法を唱えたり。このほかに、「ドローン」(Drone)というロボットを使うことも可能。

 サイバーパンク+ファンタジーイカれた世界観で、敵と銃でドンパチ撃ちあう戦闘は、大味ながらも楽しい。

 惜しいのは、ターン制のシミュレーションに欲しい要素がだいぶ欠けていること。第1に、「隠密」(Sneeking)の要素がない。"Shadowrun”というタイトルなんだから、少しは影に潜むようなアクションがあってもよいのでは? ダークな世界観なんだから、建物の中をコソコソ動き回るような選択肢がほしかった。

 さらに、「敵の背後から攻撃するとダメージ2倍」みたいなボーナスが一切ないのも不満。「敵を挟み撃ちにするとダメージ2倍」「味方と隣接すると攻撃力アップ」みたいな要素がないので、戦略的な楽しみが少ない。

 また、普通の戦闘のほかに、機会は少ないものの、電脳世界で戦う場面もあるが、そこは作り込みが甘く、面白みはやや少なめ。



●まとめ

 サイバーパンク+ファンタジーというハチャメチャな設定のわりに、ストーリーが地味すぎ。火曜サスペンス劇場レベルの薄いストーリーなので、「寝食を忘れてプレイしたい」という気にはならなかった。たしかに会話は凝ってはいるけれども。

 ストーリーが練られているサスペンスだと、登場人物のそれぞれに「見せ場」が与えられていて、各自のキャラの紹介が一通りなされたあとに、犯人探しが始まるものだが、このゲームの場合、事件の犯人は「そこまで登場していなかった、新たな登場人物」なので、驚きや感動はゼロ。謎を解いていく楽しみが欠けていて、ダラダラと物語が続いていく印象。

 とはいえ、グラフィックは美麗で細かく作り込まれているので、「プレイしているだけで幸せ」系のゲームであることは間違いない。DLCという名の続編"Dragonfall"は恐ろしく評判がよく、ストーリーも一本道ではないみたいなので、そっちもやってみよう。この「Shadowrun Returns」単体だと、点数は70/100ぐらい。