つやだしのレモン

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Starship Troopers 感想・印象

 スターシップ・トゥルーパーズ (ポール・バーホーベン監督、1997年)


○究極のベタ、テンポよく走り抜ける

 初見かと思ったら小学生のころに一度観たことがありました。「男女の兵士たちが同じ部屋でシャワーを浴びる」場面と、「培養液の中で治療中の主人公に同僚2人がおちゃらける」場面が今でも記憶に残っていました。

 ストーリーはベタの上にベタを塗り込めたような作り。一応、「戦争風刺映画」を掲げているようですが、とてもとてもそんな高尚な内容ではないことは開始5分で悟ります。脳ミソがマッスルで出来ているような連中が「友情・努力・勝利」の精神でガンガン突き進んでいく映画だよ! ベタもここまでくるとかえって潔く、楽しんで観れました。

 どうしようもなく馬鹿な展開が続く映画ですが、監督のセンスが良いのか、あるいは脚本家が有能なのかは分かりませんが、物語のテンポがたいへん良いです。「見せ場」となるようなシーンが要所に盛り込まれていて退屈を感じません。



○監督の悪ふざけ満載

 この映画、敵として登場する「バグ」連中のデザインがなかなか格好良い。昆虫を意識したデザインで、一つ一つの挙動が気味悪いほど生々しい。ブレイン・バグが人間の脳ミソを吸うシーンなんて鳥肌モノです。10年以上前の映画ですが、CG・特撮の出来はかなりもので驚きました。これも制作費100億円の賜物でしょう。

 印象に残る場面が多いのも特徴。主人公の数学の点数(35点)が衆目に晒されたり、学校の先生がみな戦争の後遺症をもっていたり、訓練中に見習い兵士が死んじゃったり、いたいけな少年少女たちが一心不乱にゴキブリを踏み殺したり、主人公が死んだけどなぜか蘇ったり、行軍中にルーテナントが無駄に部下を射ち殺したり、恋人が主人公の目の前でバグに惨殺されたり、宇宙船が敵の攻撃でパキンと二つに折れてその断面が蜂の巣みたいになったり、エスパーがブレイン・バグに触れて「こいつビビってる」ってドヤ顔で言ったり。監督の悪趣味がまき糞のごとくにテンコ盛りされた映画でした。これぞエンターテイメント。でも二度と観ないでしょう。