つやだしのレモン

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『Void Bastards』レビュー

8  /  10

 

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GOOD

最初の5時間はとんでもなく楽しい

 敵と戦いながらアイテムを集めるFPS。2〜3の重要なアイテムを揃えるとストーリーが進行するので、アイテムを求めていろんな宇宙船を探索していく。ストーリー進行に必要なアイテムは宇宙船で手に入ることもあるし、材料からクラフトすることもできる。
 最初の5時間はとんでもなく楽しい。アメコミ風の凝ったデザイン、ひとクセある主人公、ヘンテコなストーリー、個性的な敵の挙動など、唯一無二のゲーム体験を味わえる。抜群のオリジナリティ。
 FPSとしては『Bioshock』とやや似ていて、特殊なスキルを使って敵の行動を制限するのが醍醐味になっている。例えば、電撃を当てて敵を一時的にフリーズさせたり、猫型ボットを出して撹乱したり、敵をワープさせて部屋に閉じ込めたり。敵によって武器の向き・不向きがあるので、乗船時にどの武器を選択するかも重要。

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BAD

最初の5時間を過ぎるとそんなに楽しくない

 プレイ時間が5時間を過ぎると、「楽しい」よりも「疲れる」が強くなってくる。理由は2つ。
 1つ目は「ゲームオーバーにほぼならない」から。プレイヤーは死んでも代えが補給されるし、HPがゼロになっても復活できるアイテムがあるし、リスク高めの船には乗らなくてもいいし、クリアまでの時間制限はない。だからゲームオーバーになる可能性がほぼない。FPSの醍醐味のひとつは「死ぬかもしれない」というリスクだけど、このゲームでは救済措置が用意されすぎているせいで緊張感が失われている。ゲームとしてヌルいのだ。ただ、Ironmanモードなどの高難易度の設定は用意されているので、このヌルさはそれほど問題ではない。
 2つ目の理由は「盛り上がりに欠ける」で、これがかなり大きい。基本的に、プレイヤーがやることは「敵を倒しながらアイテムを集める」ことのみ。ひたすらパーツを収集するだけで、ボス戦もなければ隠しイベント的なものもない。だからプレイ時間が増えるのに合わせて、同じ作業を繰り返している感は強まっていく。クリア時は「楽しかった」よりも「疲れた」という感想が先にくる。
 各セクションにボスを配置するとか、一部の船は必ず乗らないといけないとか、自船に敵が乗り込んでくるイベントとか、そういうメリハリを生む要素があるともっと楽しめた。

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