つやだしのレモン

読んだもの、見たものの感想を書く場所。

チクマ秀版社という出版社

 坂口尚さんの本を買い漁るようになって、チクマ秀版社という出版社を知った。Amazonの検索結果を見る限りでは、実用書(一般常識とかマナーの本)とニッチな漫画を主に出していた会社だ。2007年に倒産している。

 私はチクマ秀版社の本を3冊持っている。どれも坂口尚さんの本だ。『月光シャワー』坂口尚短編集 第3巻』『3月の風は3ノット』。そのうち、『3月の風は3ノット』は2007年の7月3日に刊行されている。会社が潰れてしまった年だ。この本を出す頃にはもう倒産を分かっていたのだろうか。

 『3月の風は3ノット』にはアンケートはがきが入っていて、そこには次のように書いてある。

 チクマ秀版社のコミックをお求めいただき、誠にありがとうございます。今後さらに充実した本をお届けしたく、よろしければご意見をお聞かせ下さい。抽選で特製「正チャンの冒険ノート」(戦前・戦後の主要出版社の漫画単行本リスト付)をお送りいたします。

 今読むとしみじみする。「正チャンの冒険ノート」とは何だろう。調べてみると、戦前に流行った4コマ漫画らしい。『タンタンの冒険』を先取りしたかのようなタッチの絵だ。いや、当時の絵柄はみんなこういう感じなのか。

 調べてみると、「正チャンの冒険」の公式ホームページがある。なんだこれは。えらく気合のはいった作りだ。映画でも公開されるのだろうか? グッズはとても素敵だ。

 話を戻して、チクマ秀版社。『3月の風は3ノット』の最後に宣伝ページがある。

 

 何とも通好みのラインナップだ。価格が高めなのはしょうがない。たぶん、どれも初版が3000部未満の小部数だろうから、単価はどうしても高くなってしまう。

 けれどもその分、装丁や製本はしっかりしていて、紙の質も素晴らしい。漫画が好きだった人が編集をしたのだろうと思う。

 チクマ秀版社坂口尚さんの本は全て拾い集めることにする。